公務員の人事異動の決め方の基準って何?
春の訪れとともに動き出すのは何も虫たちだけではありません。
年度末の3月ともなると、異動が気になって仕事が手につかない人が現れます。
また、評価を上げようと人が変わったかのように仕事に取り組む人がいます。
このように、人事異動は職員の関心ごとではありますが、その基準は表に現れず、噂だけが飛び交います。
そのような推測や噂に惑わされないよう、異動対象者だけでなく、職員全員に公務員の異動基準について紹介させていただきます。
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異動年限到達者が異動対象者
同じ職場にX年勤務したら異動年限となり異動対象となります。
役所によって異なりますが担当の異動年限は3年~7年と幅広く、特に若手職員は色々な職場で多くの経験を積ませる考えから、このサイクルが短くなる傾向にあります。
一方で昔は同じ部署に10年以上も長く居座る人もいます。これは財政や人事、それに選挙などの重要部署に多く見られますが、最近は少なくなりつつあります。
よく、異動年限も過ぎても残っている人は引き取り手がいないとからかわれますが、その人が残らないと執行体制に支障が出るわけですから、余人をもってかえ難い人材なのです。
また役付になると、2年~4年のサイクルで異動となります。
一方、同じ部署でそのまま昇任する人もいれば、1回他の部署に異動して、昇任して戻ってくる人もこの役付けの特徴です。
ただし、役付、担当を問わず職場からの評価が異常に低く、病気等で職場の執行体制に支障をきたすようであれば、まれですが、1年や2年での異動もありえます。
人事異動作業はまず役職が上の方から決まっていく
人事異動作業はまずそれぞれの部署の人員配置(定数)を決め、そのポスト(役職)を決めてから取り掛かるのが基本です。
そのうえで、退職者も把握できるわけですから、退職者が抜けたポストを上から順にパズルを埋め込むように進めていきます。
例えば退職するaさんのポストにzさんを就け、zさんの空いたポストにはxさんを昇任させて就かせ、xさんのあとにはyさんを横滑りさせ・・・・これを階級別に延々に続けていきます。
ですから途中で一つ躓いたりするとドミノ倒しのように、どんどん入れ替えなければならなくなります。
また役付は大抵そのポストに絞って任じられるわけですから、そのポストの適任者や職に耐えうる職員かを判断されます。
一方、担当は該当の所属までしか異動させられませんので、所属での係等の配置は所属長の判断に任せられることが多いです。
ですから、担当レベルでは適材適所というより、所属の空いたところに人数合わせで異動者動対象者を埋めていくというのが実情です。
ただし、優秀とみられている職員は、比較的激務で能力をさらに伸ばせる部署への配置が一般的で、逆に能力が劣る職員は、その職員が配置されてもそう影響のない職場へ配置されます。
それでは異動配置はどう決まっていくのでしょうか
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公務員の人事異動1 経験
- 過去に経験した部署であれば、再配置されやすい
- 初めての部署ということでの配置も多い
担当時代にその部署への経験があれば、その部署の係長以上のポストに就く可能性は十分にあります。
また、担当や役付でも上司のポストが空けば昇任という形でそのまま上がるケースもあります。
これは説明するまでもないのですが、役付のサイクルは短いため、仕事を覚えたころに別の部署に異動では話になりませんし、異動後とはいえ、係長がしっかり業務を把握していないと、年度当初から業務が円滑に進まないことが理由に挙げられます。
ですから過去の配属やその業務への精通(税や用地等の専門職)は、その部署の状況を把握しているわけですから、慣れない人より慣れた人をという考え方は当然にあります。
しかし、全てが経験者を置けるわけでもありませんから、全く経験したことがない人も配置されるのも珍しくありません。
年度によっては、該当の部局に初めて勤務したとうケースが多い場合もあります。
また担当は若いうちに様々な経験を積ませるため、全くの別部局での配置が多いです。
公務員の人事異動2 ひっぱり
- 優秀とみられる職員はその部局の上層部がスカウトしてくる
- 評価が高い女性は能力以上に昇進していく場合がある。
優秀とされる職員は、人気もあり、是非うちの部署で働かせてほしいというスカウトも多くあります。そういう職員は、初めての仕事であっても円滑にこなし、粘りがあり、交渉上手等いろいろな要素があります。
ですからその職員と過去に仕事をしたことがある元上司などはその職員を引っ張ってポストを用意して待っているわけです。
また最近は女性登用を積極的に導入している役所も多いことから、評価の高い女性はその部局の顔として上層部から引っ張られ、本人の意志にかかわらず、同じ能力の男性たちより早く昇進するのも見受けられます。
公務員の人事異動3 ポスト不足によるたらい回し
- 評価が高くない人たちは同じ職級でのポスト回しとなる
- 場合によっては定年まで同じ職級のままという人も
評価が高い人はどんどん昇進していきますが、そうでない人は上のポストが空かなければ昇任は難しく、異動年限ごとに同じ職級をくるくる回る人もいます。
特に評価の低い人は、なかなか降格も難しいので実際は、同じ職級で責任が重くないポストをたらい回しになります。
ですからこの人を積極的に配置したというのではなく、ここが空いているから配置してしまうしかないという消極的な理由もあります。
実際このようなケースは珍しくなく、長い人は10年以上、場合によっては定年まで同じ職級のままという人も多いです。
公務員の人事異動4 適材適所
- 若いうちは自分がやりたいことより、役所側がその部署で務まるかを重視する
- 配慮事情は考慮してもらえる場合が多い
特に担当にいえることなのですが、若いうちは、誰が担当しても仕事が回らなくなるわけではありません。
しかし、役所でも重要な部署があり、そういう部署は優秀で、メンタルは強く、折衝力があり、激務に耐えうる等で評価される職員が配置されます。
ですから上昇志向が高くない職員は、本人の希望とは不一致に配置されることが多いです。
また、激務でない部署にしても、本人の適正をみながら配置されますが、その部署で難なく仕事をこなせるかが大きな基準となります。
一方、評価が低いとか、うつ病等で病気休暇を取得している職員などは、なるべく対外折衝が少なく負担の軽い部署へ配属されます。
また、保育所送迎や、家族の介護等が必要な職員は家庭との両立が図れるよう、勤務公舎等も考慮しながら配置されます。
ですから配慮事情のある職員は、ある程度事情を考慮してもらえます。
人事異動や配置は決して適当にやっているわけではない
人事異動は役所ごとに内容に差はありますが、表に出ていないだけで基準はありますし、複数人の評価を基に、いかに組織が円滑に回るかを考えながら、作業を進めていきます。
1人の異動でもその職員の人生を変えるわけですから時間と労力を使います。
実際、異動後に新しい職場になじめず、心の病で自殺する職員もいますので、人事担当者が受けるショックは並大抵のものではありません。
そのため、最後の1人がきちんと配置されるまでは、時間が許す限り、何度も何度も、人事異動案の作業をやり直します。
仕事ではありますが、皆さま職員の異動も噂レベルの適当な配置で決めているわけではないことをわかっていただけますと幸いです。
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