公務員の異動希望は聞いてもらえるのか?

毎年秋になりますと役所により名称は異なりますが、異動の希望調書なるものを書くことになります。

内容は氏名や生年月日、家族構成等の個人情報はもちろん、希望する部署や場所、考慮事項や仕事への不満等を記載する欄があります。

もちろん、必要事項しか書かない人もいれば、別紙にまで希望すること(ほとんど不満や病気アピールですが)を書く人もいます。

こんな話を職員からよく聞きます。

どうせ希望どおりに配置されることがないから、希望調書は適当に書こうと。

結論から言いましたら人事担当者は希望調書全てに目をとおします。

特に異動対象者(担当でしたら自治体によって3年~7年)についてはコピーまで取って大事に保管します。

もちろん希望等のヒアリングも行いますが、人事との間を取り持つのはこの希望調書です。

ですから絶対に主張したいことは書いたほうがいいです。

ただし、目を通したからといって希望通りにいくとは限りません。

ここでは公務員にとって一番関心があるといわれる人事異動、特に希望を聞いてもらえるのか否かにつきましてご紹介していきたいと思います。



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人事の職員は組織を第一に考える

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本人の希望部署や場所を考慮することは職員のモチベーションupにつながりますし、仕事のミスマッチを少なくするうえでも最大限考慮しなければなりません。

一方で人事担当者はいかに組織を円滑に回すかを第一に考えています。

例えば能力が非常に高い評価のAさんが①という部署を希望した場合、その①という部署がそれほど重要視されていなければ、配置される可能性は低いです。

むしろ、Aさんなら対応できる、ハードで重要視されている部署に配置される可能性が高いです。

こうしたことから、能力が高いからと言って、希望の部署に配属されるとは限りません。

野球で言いましたら打順で6番や7番で楽に打ちたいけど、打力がありチャンスに強いものですからクリーンナップを打たされるようなものです。

これからわかるように、Aさんが希望しているかどうかはあまり関係なく、逆にAさんだったら任せられる部署への配属となります。

ただし、若いうちにハードな職場ばかり経験していると私生活ともども壊れるケースもあるので、1,2回くらいは経験という名目で比較的落ち着いた職場に配置されることもあります。

次に中ほどの評価のBさんは⑤という忙しいが人気部署を希望した場合、Bさんよりも高い評価の適任者がいれば、他の人が配置されるというケースがあります。

ですから職員が希望部署にいけるというのではなく、むしろ仕事のできる人はその重要性が認められる部署へ、中位の方は不可もなく活躍できる部署へ配置されるケースがほとんどです。

希望調書は必要ではないのでは?

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それでは希望調書自体必要ないと思われる方もいるかもしれません。

しかし、希望調書は翌年度の異動希望のみではなく、職員の現状を把握するうえで非常に貴重な資料です。

また、翌年度には役立たなくても翌々年度で役立つ場合もあります。

何か重要な事案があれば、過去の調書を引っ張り出して検討するからです。

ですから希望調書は、毎年真剣に書くようにしてください。

異動希望を聞いてもらえるケースはあるのか

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一方、保育所送迎や、親の介護、それに本人の病気等の配慮事情がある場合は、配慮され、希望がかなうことがあります。

ただし、これはやりたい仕事を希望するというより、こういう事情があるから仕事や通勤を配慮してほしいという消極的な意味合いが強いです。

また、特に県や政令指定都市にいえることなのですが、激務の本庁より比較的、定時で帰れる出先機関や区への配置や、通勤が近場で済む職場を希望する職員も多くいます。

もちろん、それだけの理由では、受け付けてはもらえません。

一方、先ほどの配慮事情があれば話は別です。

人事も職員の要求を一つずつ受け入れると収拾がつかなくなるので、なるべく考慮しないようにはしているのですが、職員の生活、さらには業務に支障がでてはならないため、診断書や申立書等をとって、現況の勤務では難しいのかを判断します。

またある程度ベテランになってくると、どこで働くというより、慣れた仕事を選ぶケースが多いです。

用地買収やケースワーカー、それに税関係などです。

この要望についても、年齢を経て新しい業務を覚えストレスを溜めるより、慣れた仕事で専門性を活かしてもらおうという趣旨から希望が叶うことが多いです。

ただ、出先機関や区もそう多くないので、多少離れた場所に配置されます。



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仕事ができる職員ほど希望は聞いてもらえなくなるのか

希望を聞いてもらえる可能性について説明いたしましたが、これでは配慮事情がある職員が得をし、優秀なために激務をこなしている職員が損をする結果になってしまいます。

これではモチベーションの低下につながり、やる気を奪いかねないため、人事でも早く昇進させようと考えます。

また最近は、若手や中堅を中心に、本人が希望し、受け入れ先が認めれば配属されるというチャレンジ制度(FA制度)を導入しているところも多くあります。

これは若手や中堅の希望を掻き立てるという面では効果的ですが、自治体によって受け入れ先が激務で人気がないところに限定され、その人集めに利用されているケースもあり、若者のモチベ―ションupにつながるかは疑問があります。

一方、人事も優秀な職員に対しては、将来のビジョンを若いうちから収集し、ある程度のベテランになれば、その苦労に報いる意味で将来、昇進の他に、希望を聞いてもらえるケースもあります。

重ね重ねですが、希望調書は真剣に書いてください。

仕事のアピールする人は誰?

先ほどから評価の話が出てきますが、評価をするのは誰でしょうか。

もちろん、最終的には人事担当ですが、大きい役所になると、何千人のひとりひとりを覚えるのは不可能です。

ではだれが評価しているのでしょうか。

一つは職員が所属する人事を取り扱う人、すなわち所属長です。

さらにその所属長からヒアリングする各部局の人事担当者です。

ですから人事には希望調書で、所属長や部局の人事担当には普段の仕事とコミュニケーションでアピールすると評価が高くなる可能性があります。



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