風立ちぬのクレソンサラダにどんなドレッシングがかかっていた?

風立ちぬのクレソンサラダにどんなドレッシングがかかっていた?

2013年に公開されたジブリ映画「風立ちぬ」は、第二次世界大戦を目前にだんだんと緊迫した状況になる中、置かれた立場で一所懸命に生きた人々を描いた作品です。

その映画の中盤、主人公が休暇で訪れた軽井沢の高級ホテルでのこと。

レストランで、カストルプという謎めいたドイツ人男性が皿いっぱいに盛られたクレソンサラダをむしゃむしゃ食べるという、非常に印象的な場面があります。

このサラダ、ぱっと見て生のクレソンをただ盛ったように見えますが、ただ盛っただけなのか、それとも何か味つけがされていたのか、興味がわきます。

もしドレッシングが使われていたとしたらどんなものだったのか…時代背景を元に考えてみました。



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昭和初期のクレソン栽培について

クレソンが日本に最初に入ってきたのは明治の初め頃で、持ち歩かれることで国内に広く分布したようです。

著者にとってクレソンはどちらかというとまだなじみの薄い野菜ですので、この時代の日本を舞台にした映画にクレソンサラダが登場することには、実のところ少し驚いていました。

しかし、上述のように、自らに合う土地でクレソンはどんどん育ち、数を増やしていたのでしょうね。

件のホテルは軽井沢にあり、映画の中にも美しい水が流れている場所が登場します。

清流を好んで育つクレソンにはうってつけの環境で、レストランではとれたての新鮮なクレソンを入手することが容易だったと考えられます。

あのサラダはメニューにあったのか?

日本の高級ホテルでサラダが単品料理として出されるようになるのは、昭和24年が最初のようです。

そして、映画のあの場面は昭和8年の頃のことのようです。

あのクレソンサラダは、カストルプによる特注だった可能性も考えられます。

「クレソンウマイ」という彼のコメントもありますが、朝に夕に彼のテーブルにクレソンサラダが置かれていたところを見ても、彼はよほどのクレソン好きだったと思われます。

カストルプが、異国である日本で自身になじみのあるクレソンを見つけ大量に求めた、としてもおかしくはありません。

ドレッシングに使われるオイルは何?

ドレッシングと呼ばれるものの多くには、オイルが用いられています。

この時代、加熱せずに食することが可能なオイルとしては、大正13年に発売されたサラダ油の存在が大きかったのではないかと考えられます。

オリーブオイルについては、調べたところ、当時まだあまり多くは日本に入ってきていなかったように著者は推測します。

また、胡麻油はもっと昔から日本にあるオイルの一つですが、ドイツ人の舌に合うかというと疑わしいです。

非加熱で用いることができ、かつドイツ人の嗜好にも合うオイルということで、サラダ油がドレッシングに用いられた可能性が考えられます。



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どんなドレッシング?

この時代、洋風のサラダにはどのような味つけがされたのでしょうか?

大正14年にマヨネーズが市販化されたので、マヨネーズはあのレストランにも存在していたことでしょう。

しかし、見たところあのクレソンサラダにマヨネーズはかかっていないようでした。

一方、フレンチドレッシングの市販化は昭和30年代でした。

それよりも20年ほど前、軽井沢の高級ホテルにて世間ではまだ珍しいフレンチドレッシングのようなものが出されていてもおかしくはないか、と思われます。

従って、もしドレッシングが使われたとすれば、サラダ油、塩、酢をベースとしたフレンチドレッシングのようなものかと想像されます。

いかがでしたか?

風立ちぬのクレソンサラダにどんなドレッシングがかかっていた?

さまざまな調味料の歴史などと絡めながら、謎のドイツ人カストルプが楽しんでいたクレソンサラダについて思いを馳せてみました。

身近にある調味料が市販化された時期など、著者にとっては少し意外だった事実も見えてきて、大変興味深かったです。

いつもとは違う視点で映画を、時代を見てみる。

アプローチの仕方を変えると、同じものでもまた違う面が見えてきますし、それによって別の世界が新たに開いたりもするものだと、実感しました。

そんな風にあれこれと考えても、ひと癖もふた癖もありそうなカストルプのこと、「ドレッシングヒツヨウナイ」と新鮮なクレソンをそのままだったのかもしれませんけれどね…。



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