親知らずの抜歯は古代の拷問のようでした M.Mさん

今から30年ほど前になりますが、親知らずが伸びて来たのは、社会人になって２、３年の頃でした。

奥歯がうずくので歯医者さんに行ったのですが、その歯医者さんはレントゲンを撮って、「親知らずですね、抜いてしまいましょう」とおっしゃいました。

私自身は普通に虫歯を抜く事は何度かあったので、その程度の事と考えていたのです。

これは完全な間違いでした。

親知らずは抜歯ではなく手術である

まず麻酔注射をするのはいつもの通りの手順ですが、並べられる道具の中になにやら普段の抜歯では見ないような物があります。

大きなペンチやノミのような物、ハンマーのような物まで、なんとなく嫌な予感がしたものです。

やがて麻酔が効いて来て、手術が始まりました。

そう、それは抜歯ではなく手術でした。

長い、長すぎる戦いの時間

親知らずは歯の一番奥に生えます。

脇から生える人もいるようなので、そういう人は違うかもしれませんが、私の場合は一番奥でした。

その為、手術の間中、口は全開状態にしておかねばなりません。

実際にやってみれば分かると思いますが、口を全開状態で数分保持するだけでも辛い物です。
それが何十分も、一時間近く？一時間以上？ともかくそのぐらい続いたのです。

正直私の顎は限界でした。

というより、限界をオーバーして顎関節がおかしな事になっていたようです。

今でも顎関節の噛み合わせが悪く、痛くなる時があるのですが、明らかにあの時の手術の影響だと思っています。

麻酔が効いているけど骨を削る感覚がある

手術で先生がペンチでえぐる感触が顎の骨にダイレクトに伝わってきました。

ガツガツとハンマーとノミのような物で削る感触も生々しく感じられました。

もちろん麻酔が効いているので激しい痛みなどはありません。

一番痛かったのは顎でした。

しかし、自分の骨が削れるガリガリという音が耳に聞こえて来て、神経がそそけだつような、冷や汗をかく感じに襲われ、必死に耐え続けるという体験はもう二度としたくないと思う物でした。

親知らずは根が深い

その後、無事に抜く事が出来た親知らずを見せてもらいましたが、その根は横に広がっていて大きくて、普通の歯とは全く違っていました。

よく考えてみたら、普通虫歯で抜く歯というのはある程度虫歯が進んでいて削れているので普通の歯よりは小さいのですよね。

それにしても根が全然違う感じでした。

手術で精も根も尽き果てていた私ですが、うわあっと思ったものです。

古代には歯を抜く拷問というのがあったそうですが、これを麻酔なしで行っていたかと思うと、気が遠くなりそうです。

とにかくもう二度と親知らずは抜きたくないと思った手術でした。